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小笠原村父島図書室の指定管理者制度への移行に伴う司書の解雇事件につき，
２０１３年７月１日午後３時００分から，愛知県労働委員会（※１）で第２回期日が
開かれました。

申立人：名古屋管理職ユニオン代表者執行委員長山上博信
被申立人：小笠原村代表者村長森下一男

すでにお知らせしたとおり，７月１日の期日には，被申立人（村）側代理人弁護士もしくは村長から
提出されているべき準備書面，証拠説明書，書証（乙号証）がいずれも漏れており空転しました。

被申立人村は，申立人ユニオンに対し，本件司書解雇事件に関し，
団体交渉を拒否する根拠として，下記回答書のとおり，東京高裁平成19年11月28日判決
（いわゆる中野区保育士解雇事件）を引用し，頑迷に拒否（もしくは回避）しています（答弁書同旨）。



この間，労働委員会は，第１回期日以降，自主的交渉を進めるよう勧告しました。

ところで，中野区保育士解雇事件高裁判決は，１２年もの永きに渡って勤務してきた保育士を解雇した中野区に対し，
「（保育士ら）を再任用せず，（雇用継続の）期待権を侵害したことによる損害を賠償する義務を負うべきである。」と判断し，

「（保育士）らが被った損害は，この期待権が（保育士）らの生活基盤に直接かつ密接に関連するものであり，（中野区）が（保育士）らを再任用しないことが（保育士）らの生活設計に与えた影響は大きいと考えられるところ，本件においては，（中野区）は，再任用拒否を回避したり，（保育士）らの再就職確保のための努力を怠ったのみならず，再任用拒否についての協議について不誠実であり，また，平成16年3月末日の間近である同年2月24日に再任用拒否の告知をする等しているのであって，（保育士）らは非常勤職員であり，任用期間の経過とともに当然に（中野区）と縁が切れるから放置すればよいとの認識であったと認める余地すら存在する。このように，実質的にみると雇止めに対する解雇権濫用法理を類推適用すべき程度にまで違法性が強い事情の下に，（中野区）が（保育士）らの期待権を侵害したこと，しかるに，私法上の契約と異なることから，（保育士）らはその地位の確認を求めることはできないこと，その他本件に顕れた一切の事情を考慮すると，（保育士）らそれぞれにつき，報酬の1年間分に相当する程度の慰謝料額を認めるのが相当であり（なお，一審原告Dに関しては平成16年4月1日以降，一審被告の臨時職員として1年間従事した事情も考慮することとする。），また，弁護士費用もその1割程度を相当因果関係ある損害として認めるのが相当である。」と結論付けた判決です。

そこで，申立人から，被申立人に対し，司書に対する金銭補償を要求しました。

残念なことに，被申立人（村長，総務課長，代理人弁護士）は，労働委員会の自主的交渉の
勧告に一切応じず，前回期日にも書面を出さないという，真に不誠実な対応に出ました。

翌７月２日（火）夕方，被申立人小笠原村代理人弁護士から送られてきた書面は，
冒頭の写真です。
書面には，東京高裁平成25年（行コ）第10号の判決書（※２）を添付し，
村の立場を説明しています。
しかしながら，この判例は，東京都に対し，労働組合（東京公務公共一般労働組合）の
申し入れた団体交渉に応じるべき判断をしています。

申立人ユニオンとしては，被申立人村の示した判例に則り，速やかに団体交渉に
応じるよう主張してまいります。


過去記事
2012年12月19日エトピリカ文庫・小笠原（母島）開設セレモニー
2013年01月08日小笠原父島図書室職員全員解雇！？
2013年03月15日小笠原父島図書室職員解雇事件のその後
2013年04月05日ないはひどいぞ！小笠原村団交議事録を隠匿か！？
2013年05月05日小笠原村父島図書室解雇事件第１回調査期日開催
2013年05月09日小笠原父島図書室解雇事件と住民サービスへの影響
2013年05月11日小笠原父島図書室解雇事件で国会図書館との関係は？
2013年07月01日小笠原村父島図書室解雇事件空転

（※１）
本件労働委員会の構成；
公益委員・山本和子 名古屋文理大学健康生活学部教授
労働者委員・鶴岡光行 全日本自動車産業労働組合総連合会愛知地方協議会顧問（トヨタ自動車労働組合執行委員長）
使用者委員・二村精二 日本特殊陶業株式会社顧問

（※２）
新たに被申立人小笠原村の示した判例とその下級審判決等

東京都労委平成20年（不）第13号 一部救済 平成22年4月20日
M-H23-037 命令 東京都（専務的非常勤職員設置要綱） 中労委平成22年(不再)第38号 棄却 H23.10.05
東京地裁平成23年（行ウ）第703号 棄却 平成24年12月17日
東京高裁平成25年（行コ）第10号 棄却 平成25年4月24日