2010年07月15日
Sおじぃの軍事郵便貯金
Sおじぃの戦前の軍事郵便貯金の原簿照会をゆうちょ銀行に請求しました。
名古屋貯金JCから「軍事郵便貯金は,預金者の方で,通帳の記番号を特定してください」と
言われたので,記番号が特定できたものから原簿照会を始めました。
結果は → 2010年07月24日マジであった!Sおじぃの軍事郵便貯金
記号が「戦」「艦」「熊」で始まる通帳ばかりかと思ったら,「やよ」ですよ!
「や」…三重県,すなわち現在の都道府県国記号が「22」
「よ」…いろは順で15字目,すなわち現在の局番号で「015」
「22015」ということは,三重県久居郵便局(為替貯金局番号22015)になります。
軍事郵便貯金等特別処理法(1954年法律第108号)によれば,
(定義)
第二条 この法律において、左の各号に掲げる用語は、当該各号に定める定義に従うものとする。
一 「軍事郵便貯金」とは、旧野戦郵便局又は旧海軍軍用郵便所で預入された郵便貯金をいう。
とするだけであって,野戦郵便局(「戦」記号),海軍軍用郵便所(「艦」記号),で新規預入したもの,
もしくはこれらの郵便局所を管轄する熊本地方貯金局が記番号を予刷(「熊」記号)した通帳を用いたもの
だけではないと言うわけです。
ちなみに,同法第2条第3号によれば,「外地郵便貯金」とは,「旧外地等にあつた郵便局で預入された郵便貯金をいう」
とされ,「旧外地等」とは,「朝鮮、台湾、関東州、樺太、千島列島、南洋群島、小笠原諸島、硫黄列島、硫黄鳥島、伊平屋島及び北緯二十七度以南の南西諸島(大東諸島を含む。)をいう」と定義されています(同法第2条第6号)
Sおじぃになぜ「久居局」で通帳を作ったのか聞いてみると,やはり,久居駅前にあった旧陸軍歩兵第33連隊
(今は,陸上自衛隊第33普通科連隊)にいたご様子です。
そして,証明欄を見ると,「1945年8月14日以前の預入額」と「8月15日以後の預入額」で分かち書きされています。
ポツダム宣言を受諾した前後で,権利関係が変わってきます。
同法第3条によれば,ポツダム宣言を受諾したのは,1945年8月15日なので,「8月15日以前」と「8月15日以後」に
分けられています。
しかしながら,写真の証明書によれば,表示金額が1500円以下なので,別表甲欄記載のとおり,1対1の割合で
支払いを保証されていることになりますので,この際,本件については,大きな問題ではありません。
貯金原簿が確認でき,正当権利者の確認ができれば,同法第8条により,払い戻しがなされます。
さらに,台湾住民に対する軍事郵便貯金等に対する払い戻しは,さらに,120倍の換算率で払い戻されます。
いわゆる「台湾確定債務問題」に対する,村山総理の成果というやつです。
村山政権一年の成果
「平和友好交流計画」に関する村山内閣総理大臣の談話
関係法令のばっすい
軍事郵便貯金等特別処理法
(軍事郵便貯金の換算)
第三条 昭和二十年八月十六日以後預入された軍事郵便貯金の現在高(この法律の施行前に本邦にある郵便局で払いもどしがあつた軍事郵便貯金については、その払いもどし前の現在高)の金額は、左に掲げる換算率により換算した金額の合計額とする。
一 表示金額千五百円までの部分につき
別表甲欄に掲げる換算率
二 表示金額千五百円をこえる部分のうち、別表乙欄に掲げる換算率により換算した金額が三千五百円となるまでの部分につき
別表乙欄に掲げる換算率
三 表示金額千五百円をこえる部分のうち、別表乙欄に掲げる換算率により換算した金額が三千五百円をこえることとなる部分につき
別表丙欄に掲げる換算率
(軍事郵便貯金及び外地郵便貯金の取扱いの制限)
第八条 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構は、軍事郵便貯金又は外地郵便貯金の貯金通帳によつては、払戻証書による全部払戻しの取扱いを除いて、貯金の預入及び払戻しの取扱いをしない。
2 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構は、外地郵便貯金である定額郵便貯金の貯金証書によつては、払戻証書による払戻しの取扱いを除いて、貯金の払戻しの取扱いをしない。
別表
取扱機関の所在地域(旧野戦郵便局及び旧海軍軍用郵便所にあつては、その最後の所在地域) | 換算率(1円に対する表示金額) | ||
甲 | 乙 | 丙 | |
朝鮮及び台湾 | 1円 | 1円 | 1.5円 |
関東州 | 1円 | 1円 | 1.6円 |
華北 | 1円 | 11円 | 100円 |
華中及び華南 | 1円 | 11円 | 432円 |
香港及び海南島 | 1円 | 10円 | 10円 |
マライ及びビルマ | 1円 | 11円 | 432円 |
旧蘭領東印度諸島(北ボルネオを含む。) | 1円 | 1円 | 6円 |
その他の地域 | 1円 | 1円 | 1円 |
Posted by bonin at 00:22│Comments(4)
│外地貯金軍事貯金
この記事へのコメント
Sおじいの軍事郵便貯金と同様なものですが
Sおじいの軍事郵便貯金と似通っていると思いますが、中国大陸において預けた「第六方面軍司令官陸軍大将岡部直三郎発行の軍事郵便貯金証明書」を発見したのです。早速本件ブログを見て、ゆうちょ銀行福岡貯金事務センターへ照会したところ「同記号の軍事郵便貯金の原簿は存在するが、該当する番号はありません。同証明書は、当時の郵政官署が関与しない軍の組織によるものであるため払い戻しには応じかねます。」との回答でした。当時「金融緊急措置令・日本銀行券預入令」を発布し、強制的に貯金させておきながら、このような扱いです。何か良い方法はないでしょうか?。
Sおじいの軍事郵便貯金と似通っていると思いますが、中国大陸において預けた「第六方面軍司令官陸軍大将岡部直三郎発行の軍事郵便貯金証明書」を発見したのです。早速本件ブログを見て、ゆうちょ銀行福岡貯金事務センターへ照会したところ「同記号の軍事郵便貯金の原簿は存在するが、該当する番号はありません。同証明書は、当時の郵政官署が関与しない軍の組織によるものであるため払い戻しには応じかねます。」との回答でした。当時「金融緊急措置令・日本銀行券預入令」を発布し、強制的に貯金させておきながら、このような扱いです。何か良い方法はないでしょうか?。
Posted by だっぺおじさん at 2015年11月01日 15:10
昨年11月1日付けで投稿した「だっぺおじさん」です。その後、軍事郵便貯金原簿について国会会議録を精査しましたところ、昭和29年4月30日第19回国会「郵政委員会」第12号に、答弁者郵政省貯金局長 小野吉郎氏は、軍事郵便貯金特別処理法の立法に向けての答弁で「今回の支払いの対象になります郵便貯金につきましては、大部分が終戦直後のことでございます。そういった関係で、内地に原簿が全然存在しないような状況になっております。」と、終戦前、終戦後を通じて初めて軍事郵便貯金を利用したのが戦後であったなら、軍事郵便貯金原簿は国内に戻ってきていないと答弁しています。更に、対処策として「既に、定員を配置いたしまして通帳を呈示して貰って通帳面における原簿を実は作っておるようなわけであります。」と新しく原簿を作成していることを答弁しています。また、同年5月6日第19回国会「郵政委員会」第22号においても、同内容の答弁をしています。ゆうちょ銀行の対応は、小野局長の答弁とは異なった事務処理をしています。また、軍事郵便貯金証明書は、郵政官署が関与しない、軍が独自に作成した書類のため払い戻しには応じられないとしています。野戦郵便局で勤務するものは、軍の指揮管理下となる「軍属」なのにです。どうも、福岡貯金事務センターからの回答は、根拠のない、視点をそらした回答をしてくるのです。この場をおかりしまして、ブログの持ち主様の承認を頂いて、皆様の知識をお借りしたいと思います。
Posted by 軍事郵便貯金証明書 at 2016年05月18日 16:58
昨年11月に続いて書き込ませていただきます。「軍事郵便貯金証明書」は、軍事郵便貯金通帳と言うものがあるのに、なぜ、証明書などと言うものを発行したのでしょうか。軍がかってに行ったのでしょうか。それとも、いずれかの機関から指示されたのでしょうか。例えば「勅令第00号」・大蔵省であれば「大甲第00号」とか。判りません。ご教授お願いします。
Posted by だっぺおじさん at 2016年05月30日 14:41
昨年11月1日以後、更に軍事郵便貯金について国会会議録を精査したところ、「軍事郵便貯金の原簿」は戦後、中国大陸から変換されておらず、復員者から通帳等の提示を受けて「新しく原簿」を作っていることが「国会会議録」から判りました。昭和29年4月30日第19回国会「郵政委員会」第12号及び同年5月6日第19回国会「郵政委員会」第22号において、当時の郵政省 貯金局長 小野吉郎氏が「軍事郵便貯金特別処理法」立法に向けて答弁しています。つまり、戦前・戦後を通じて初めて軍事郵便貯金を利用したのが、「戦後」であったなら軍事郵便貯金の原簿は、国内に戻ってきていないということです。これに対し「ゆうちょ銀行福岡貯金事務センター」からの回答は「原簿は戦前から国内に於いて管理していました。現在は当所において管理しています。」と、戦前には軍事郵便貯金を利用していないのに「戦前から・・・。」など、どうして管理できるのでしょうか。また、軍事郵便貯金証明書では払戻に応じられない根拠法令として、平成17年法律第102号「郵政民営化法等の施行・・・」と昭和22年法律第144号「郵便貯金法」を回答してきました。これら両法令についても、本件は昭和21年3月4日取扱の為「不遡及の原則」により、施行前に遡って適用することはできません。このような何とも理屈に合わない回答をしてくるのです。前回同様「良い方法」は無いでしょうか?
Posted by だっぺおじさん at 2016年10月29日 15:21
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