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2010年09月07日

旅客機内における傷害事件と機長の命令言い渡し

旅客機内における傷害事件と機長の命令言い渡し
モスクワからの帰途,旅客機内で傷害事件が発生し,機長は,「機内の安全を脅かす行為」を禁止するため,
加害者に命令を言い渡しました。
これは,その際の写真です(モスクワ時刻,2010年9月7日午前00時26分,日本時間午前05時26分)。
禁止命令書の書式は,こちら→●

加害者(ロシア人風の大柄な男性)は,過度の飲酒により,隣の席にいた被害者(ロシア人風の大柄な男性)と
口論となり,傷害事件を起こしました。

客室乗務員は,当該旅客に対し,日本語・英語・そしてロシア語通訳を介し,「命令・Order」を述べました。
その際の内容は,概ね,
 加害者が過度の飲酒などを原因とした暴力・威嚇行為を行ったことを認定し,
 この事実は,航空機の安全を阻害する行為のほか,機内の乗客・乗員に危害を及ぼしたり,
 機内の秩序や規律を乱したりする行為であるとし,航空法第73条の3で禁じられていること,
 特に,国土交通省が定めた「乗務員の業務を妨害し、安全の保持などに影響を及ぼす恐れがある行為」
 であるから,機長の命令に背いて中止を命じる。
 中止しなかった場合,50万円(法定刑の金額は,同時にドルとルーブルに概算)以下の罰金が科せられること
 がある
というものでした。

私の座席位置は,プレミアム・エコノミーの21Kに座っていましたが,2つ左側の21Gの旅客が21Fの旅客
傷害するに及びました。
21Fの旅客は止血に困難を極め,同人のシートは鮮血で汚れ大変でした。
加害者の身柄は,着陸後,直ちに警察官に引き渡されました。

旅客機内における傷害事件と機長の命令言い渡し
飛行ルートは,天売・焼尻から,留萌上空を経由し北海道を南下するルートを採りました。
日本領空に入ること,緊急着陸の可能性を優先したものと思われます。

なお,刑法は,第1条で,日本の航空機内で国内同様の適用があるものとされています。

刑法のばっすい
(国内犯)
第一条  この法律は、日本国内において罪を犯したすべての者に適用する。
2  日本国外にある日本船舶又は日本航空機内において罪を犯した者についても、前項と同様とする。


航空法のばっすい
第七十三条の四  機長は、航空機内にある者が、離陸のため当該航空機のすべての乗降口が閉ざされた時から着陸の後降機のためこれらの乗降口のうちいずれかが開かれる時までに、安全阻害行為等をし、又はしようとしていると信ずるに足りる相当な理由があるときは、当該航空機の安全の保持、当該航空機内にあるその者以外の者若しくは財産の保護又は当該航空機内の秩序若しくは規律の維持のために必要な限度で、その者に対し拘束その他安全阻害行為等を抑止するための措置(第五項の規定による命令を除く。)をとり、又はその者を降機させることができる。
2  機長は、前項の規定に基づき拘束している場合において、航空機を着陸させたときは、拘束されている者が拘束されたまま引き続き搭乗することに同意する場合及びその者を降機させないことについてやむを得ない事由がある場合を除き、その者を引き続き拘束したまま当該航空機を離陸させてはならない。
3  航空機内にある者は、機長の要請又は承認に基づき、機長が第一項の措置をとることに対し必要な援助を行うことができる。
4  機長は、航空機を着陸させる場合において、第一項の規定に基づき拘束している者があるとき、又は同項の規定に基づき降機させようとする者があるときは、できる限り着陸前に、拘束又は降機の理由を示してその旨を着陸地の最寄りの航空交通管制機関に連絡しなければならない。
5  機長は、航空機内にある者が、安全阻害行為等のうち、乗降口又は非常口の扉の開閉装置を正当な理由なく操作する行為、便所において喫煙する行為、航空機に乗り組んでその職務を行う者の職務の執行を妨げる行為その他の行為であつて、当該航空機の安全の保持、当該航空機内にあるその者以外の者若しくは財産の保護又は当該航空機内の秩序若しくは規律の維持のために特に禁止すべき行為として国土交通省令で定めるものをしたときは、その者に対し、国土交通省令で定めるところにより、当該行為を反復し、又は継続してはならない旨の命令をすることができる。


航空法施行規則のばっすい
(安全阻害行為等の禁止)
第百六十四条の十五  法第七十三条の四第五項 の国土交通省令で定める安全阻害行為等は、次に掲げるものとする。
一  乗降口又は非常口の扉の開閉装置を正当な理由なく操作する行為
二  便所において喫煙する行為
三  航空機に乗り組んでその職務を行う者の職務の執行を妨げる行為であつて、当該航空機の安全の保持、当該航空機内にあるその者以外の者若しくは財産の保護又は当該航空機内の秩序若しくは規律の維持に支障を及ぼすおそれのあるもの
四  航空機の運航の安全に支障を及ぼすおそれがある携帯電話その他の電子機器であつて国土交通大臣が告示で定めるものを正当な理由なく作動させる行為
五  離着陸時その他機長が安全バンドの装着を指示した場合において、安全バンドを正当な理由なく装着しない行為
六  離着陸時において、座席の背当、テーブル、又はフットレストを正当な理由なく所定の位置に戻さない行為
七  手荷物を通路その他非常時における脱出の妨げとなるおそれがある場所に正当な理由なく置く行為
八  非常用の装置又は器具であつて国土交通大臣が告示で定めるものを正当な理由なく操作し、若しくは移動させ、又はその機能を損なう行為

第百六十四条の十六  機長は、法第七十三条の四第五項 の規定により命令をするときは、同項 に規定する安全阻害行為等をした者に対し、次の事項を記載した命令書を交付しなければならない。
一  当該行為者が行つた安全阻害行為等の内容
二  当該行為を反復し、又は継続してはならない旨


機内での安全のために(JAL・安全情報)

「航空機の運航の安全に支障を及ぼすおそれのある電子機器等を定める告示」の一部改正について(国土交通省)

機内での安全阻害行為等の禁止について(定期航空協会)


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この記事へのコメント
トランジットでおいしいビールのミュンヘンです。ドイツは素晴らしい。

ところで、はっはっは。だろうな。ロシアの旅がそんなに美しく終わるはずはないと思ってたぜ。まるでヨーロッパのような旅(とくに治安がいいというあたり)でしたが、これぞロシア。JALも金がないことだし、モスクワ便はアルコール有料にした方がいいのではないでしょうか。行きもだいぶのみすぎのようで実は心配しておりました。
また行ってください。10回までは毎回発見があり、4回目くらいからやみつきになります。ただ、10回を越えるとあほらしくなります。いまの私はロシアに関心なく(私はもっともロシアにいかなかった歴代センター長の一人でしょうね)。
で本当のところ、止めようとしたりしたの?
Posted by いわし@ミュンヘン at 2010年09月08日 04:16
いわしにーさん、こんばんは。
いやいや、ロシアはまりましたよ。

>ところで、はっはっは。だろうな。ロシアの旅がそんなに美しく終わるはずはないと思ってたぜ。まるでヨーロッパのような旅(とくに治安がいいというあたり)でしたが、これぞロシア。

これだけ、大酒飲みがいれば、そうなるのは当たり前だし、実はもっと恥ずかしい話があって、これは追って書いていきます。

>JALも金がないことだし、モスクワ便はアルコール有料にした方がいいのではないでしょうか。行きもだいぶのみすぎのようで実は心配しておりました。

加えて、スカイ・マーシャルも警乗させてほしいですね。
そうなると、刑事ドラマは十津川警部だけでなくなるわけですね。


>また行ってください。10回までは毎回発見があり、4回目くらいからやみつきになります。ただ、10回を越えるとあほらしくなります。いまの私はロシアに関心なく(私はもっともロシアにいかなかった歴代センター長の一人でしょうね)。

いやいや、はまりました。
日本やオセアニア的な発想が全く通用しない、混沌とした世界ですね。

2012年は、ボロジノ合戦200年ですから、南大東の関係者連れてぜひ行きますよ。
ロシア語もトイレの表示に始まり、必死でしたから、駅名とか時刻表は何とか追いかけられるようになりました。
昨夜は、モジャイスク周辺のバス路線と時刻表をネットで見つけました。
ロシアバスヲタの旅もいつかやってみたいです。

>で本当のところ、止めようとしたりしたの?

事件の起きる前から、飲み過ぎでおかしかったので、CAも周囲の乗客もなんかありそうという雰囲気でした。
ただ、流血騒ぎまでは想像してませんでしたが、私の隣、つまり、加害者のすぐ隣が女性客でしたので、「絡まれてもいけないので、席を変わりますよ」と何度かお勧めしていました(私が絡んでいた訳ではありません)。そう言ってるうちに流血騒ぎ。事件の起きた直後、「もう遅かったですね…」と女性がぽつり。
着陸後、女性が事情聴取と実況見分の立会を求められました。
私が逆に「何の力になれず、申し訳ない」と女性にお詫びした次第です。
Posted by bonin at 2010年09月10日 20:36
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